*
……なんだろうか……
付き合い始めて今日で1週間。
2人並んで歩くのがこんなに気まずいと思ったことは初めてだ……。
「……」
「……」
怜くんは迎えに来てくれた時におはようと言ってくれたきり黙り。
いつもは、昨日あのテレビ見た?
昨日こんなことがあってさ。
って……たくさん話してくれるのに……
怜くんは何を考えているのかこれっぽっちも分からない。
私が経験不足だから……?
だから怜くんは笑顔にならない……?
「れ、怜くん……あの……!」
「……杏奈、あのさ……」
話題作りにあのキーホルダーを渡そうと話始めた時、そのタイミングは怜くんと一致した。
「あ……先どうぞ……怜くん」
「……あのさ。
昨日オレ色々考えててさ……」
「う、うん……」
だから返信こなかったのかー。
でも何を考えていたのか?
2人で歩きながら私は考えていた。
「オレらやっぱり別れよう」
「え……?
別れ……る?」
「うん」
「ど、どうして?」
すると怜くんは笑っていた。
昨日の哀しい顔でもなくて。
告白してくれた嬉しい顔でもなく。
上手く騙せたとばかりの表情で……。
「ぶっちゃけ付き合ったのは顔がそこそこタイプだったからで。
オレね顔がタイプだったらそれでいいわけ」
「怜……くん……」
「だから1週間だけ付き合ってみたんだけど、飽きたからもういいや。
別れよ?」
「で、でも……っ」
「別れてくれるよな?
重い女は嫌いだから」
「……っ」



