Want*You




昨日までは放課後になったらすぐ迎えに来てくれたのに……


今日はそれすらもなくて私は怜くんを自ら迎えに行くことに。




「杏奈……」




すると怜くんは誰もいなくなった教室に1人でいた。


もうすぐ冬になる教室は人がいなくなるとひどく寒く感じて、物悲しくなる。



怜くん……寒いの苦手なのに……。


私はそんなどこか儚い怜くんの元に足早に駆け寄った。




「どうしたの、体調悪い?
あ、熱とか?
季節の変わり目って風邪とか引きやすいし……」




焦って矢継ぎ早に言葉を紡ぐ私に怜くんは俯いて小さく首を振る。



「じゃあ……?」


「杏奈ごめん……。
杏奈と色違いで買ったキーホルダー……
どこかで落としたみたい……」


「え?
そ、そうだったの……?」




そんなに落ち込まなくても……




「き、気にしないで?
なんならあたしがプレゼントしてあげるから!」


「そんな……悪いよ……」


「いいの!
それでまたお揃いになる、でしょ?」




“だから今日も一緒に帰ろう?”



怜くんは私のその言葉に酷く哀しそうに笑って頷いた。



付き合うことになれた日とは真逆の表情に私はどうにかして怜くんを笑顔にさせてあげたかった。



だから怜くんに家まで送ってもらった後、コッソリ同じものを買いに行った。


水色のクマのキーホルダーを。





「怜くん、喜んでくれるかなっ……」




明日、学校に着いたら渡そうかな?


そうしようっ!



ただ……


私が送ったままのメッセージの返信はこの日初めて返ってくることはなかった……