「うー、寒くなってきたね。
オレ寒いの苦手なんだよー」
「そうなの?
あたしは暑いよりは好きかなぁ。
冬はクリスマスとかあるし!」
「はは。それ理由になるのー?」
「なっ、なりますー!」
怜くんは寒いの嫌いなんだ。
また1つ知った怜くんの嗜好。
その度に大切なものが増えていく気がした。
「杏奈寒くない?
女の子ってスカート寒そー……」
「まぁずっとこれだしね。
それに今はその……手を……ですね……っ。
繋いでもらってるので……あったかい、です……?」
何を言ってんだと恥ずかしくなって疑問系な口調で恐る恐る斜め上の怜くんの顔を見る。
「あざといなぁ、もう」
怜くんはそう嬉しそうに繋ぐ手を引かれてこつんと額同士が一瞬触れ合った。
キスしてしまいそうな距離感に自分でも顔が赤くなったのが分かって……。
「で、でででででは……!
送ってくれてあああありがとう……!」
隠すように手と手をパッと離して駆け出して少しして。
「怜くんっ。
今日は本当にありがとう!
大事にするね!」
怜くんの方へ振り向いて一礼して手を振る。
それに怜くんも笑いながら応えてくれた。
明日も明後日も……
こうしてバイバイってできたら……
それだけで凄く凄く……
幸せなことなんだね…────────
*
「怜くん……来ないなぁ……」
怜くんと付き合って明日で1週間になろうとしていた。
あれ以来デートはしていない。
別にそれは不満というわけでもない。
毎日学校で会えるだけで充分だったから。
でも……最近少し気掛かりなことがある。
「迎えに行ってみようかな?」
怜くんはデートした日以来、ボーッとすることも増えて連絡もだいぶ減った。
これが普通のカップルなのかな……?
付き合ったことがない私にはそれがよく分からない。
聞こうにも重い女だって思われたくないし……。
我慢すればいいんだ。
ずっとそう言い聞かせていた。
「怜くん……?」



