幸せすぎて少し怖いくらい。
それでも今しかない今を楽しもう。
かけがえのない大切な人がいる今を……。
「あ、怜くんこれどう?」
最寄りのショッピングモールに到着した私と怜くんは早速キーホルダー探し。
気になった店内をいくつか見て回っていると、掌にスッポリと乗るクマのキーホルダーを見つけた。
色も何色かあって、デザインも可愛い。
「あたしはー、ピンクかなぁ」
「……」
「……怜くん?」
彼はじっとそのキーホルダーを見つめて黙り込んでいた。
初めて見たその表情にマズいことをしたかと軽くパニックになる。
「え……?
あ、これ……いいねっ。
オレは何色がいいと思う?」
でもそれもほんの少しの間のことでいつもの怜くんだった。
とりあえずホッとして怜くんに合う色を物色する。
「んーっとねー、なんだろ?
この水色、かな!」
「オッケー。
その2つ貸して?」
「え?
あ、ちょちょ……!
自分の分はあたしが払う……」
「だーめ。
言ったじゃん?
お昼のお返しにって」
「うぅ……」
ピンと長い指先が私のオデコを弾いた。
そう言えばそんな約束だったと改めてお礼を言って怜くんにプレゼントしてもらった。
「ありがとう、怜くん!
早速つけるね」
「うん。オレも」
新品の綺麗な色を放つキーホルダーは味の出てきた鞄によく目立った。
同じくらい怜くんは外を歩いていてもよく目立った。
高身長なこともあるけれど、やっぱり顔立ちが周囲の目を引くのか振り返ってまで見る人もいた。
そしてだいたい隣にいる私は釣り合っていないなという目線で見られる。
……仕方無いよねぇ。
事実だし。
だからこそ人の意見に振り回されず、しっかり立って怜くんの隣を歩くのだ。
「いいねー、お揃いって」
「うんうん!」
私にはこうして笑ってくれる怜くんがいるから……
それだけでいい。
それから適当にブラブラして日が沈んできた頃、帰路に着く。



