Want*You



「ご馳走さまっ。
いやぁー、やっぱり弁当っていいよね」


「怜くんはお弁当じゃないの?」


「んー、まあね。
親にも負担かけたくないし」


「そっかー。
怜くんは偉いねぇ。
あたしなんて甘えっぱなしだもん」


「でも今日は弁当作ってくれたじゃん?」


「たまーにしか作らないよ?
いつもはお母さんに作ってもらってるし……」





そう言えば……


怜くんはどんな家に住んでいて……


何人家族なんだろう?


ふと気になったものの、まだ付き合いも浅いし聞くのは憚られた。


ゆっくり……少しずつ知っていけばいいよね。




「それならまた弁当頼んじゃおうかな?
杏奈の自立への一歩ってことでっ」


「が、頑張るよっ……!」


「じゃあ今日は弁当のお返しにデート行こっか」


「へ?」


「今日の放課後空いてる?」


「う、うん!
空いてます空いてます……っ!!」


「ふはは。
決まりっ。
場所はまた放課後言うよ」


「分かった!」




付き合って3日目で、いよいよデートかぁ。


制服デート!

憧れだったんだよねー!

夢がまたひとつ叶った!!





と、ひたすら浮かれ気分のまま授業も身に入らない。


今日だけはそれでもいいかと自分を甘やかして放課後、教室で怜くんを待った。





「ちょっと遅くなっちゃった……!
ごめんね」


「ううん、いいのいいの!」


「ありがとね。
それじゃ、行こっか?」





当たり前のように手を繋ぎたいとばかりに私の右手は優しく拐われる。


……幸せだなぁ。


何もかもが初めてで……


今感じている幸せなこの気持ちも……

繋ぐ手を通して怜くんに伝わればいいのに……




「怜くん、どこ行くの?」


「ショッピングモールかな。
お揃いのものとかさ、持たない?」


「いいねっ!
何をお揃いにする?」


「そうだなぁ。
やっぱり無難にキーホルダーとか?」


「じゃあそうしよっ!」