なんせ校内一モテる人物がそこら辺を探せばいくらでも代えがいるような存在の私に告白をするだろうか?
「でも……ど、どうしてあたしなんか……?」
「1年生の時の文化祭で頑張ってた多城さんを見て支えたいって……
多城さんの色んな表情をもっと見たかったんだ」
照れながら人差し指で頬をかき、斜め下を向いた佐久間くん。
佐久間くんとは2年連続で同じクラスだった。
去年の文化祭は実行委員に立候補してクラスのために尽力させてもらった。
それが1年後、こんなに嬉しいハプニングを連れてきてくれるなど思ってもいなかった。
「そ、そうだったんだ……っ。
なんか照れるけど……嬉しいなっ」
「オレも多城さんと付き合えるなんて……
嬉しいけど、ちょっと実感わかないかも……っ」
ええ、ええ!
それは私もですよ、佐久間くん!!!
「あ、そうだっ。
杏奈って……呼んでもいい?」
「へっ!?
あ、も、ももももちろん……!」
彼氏という存在に名前を呼ばれることって……
こんなにドキドキするものなの?
苦しいけど……それ以上に何度でも呼んでほしいと思ってしまう。
「じ、じゃあ……あたしは怜くん、でもいいかな……?」
「もちろんっ」
……怜……くん。
……怜くん。
怜くん。
何度も心の中で呟いてみる。
いい響きだなぁ。
なんだかとても新鮮で恥ずかしくて。
それなのに嬉しくてつい頬が緩む。
「じゃあこれから……よろしくね、杏奈っ」
「よ、よよよろしく!
怜……くん!」



