「りつ?」







「………!?」




背中の方から聞き覚えのある華奢な声がした




振り向くと





「……来那?」





最悪な状況で来那に会ってしまった






俺に寄りかかる詩穂は来那の知らない女の人




今は夜の11時だ




こんな時間に来那が外にいるのも偶然すぎる



そういえば来那の大学がこの辺だっけ…




やましいことはしてないけど罪悪感が押し寄せてくる




「何してんの?」




来那の言葉の重さがずっしりと胸にのしかかる




でも俺は何もしてないぞ





「ほら、来那にも言ったじゃん?
飲みに行くってさ!
そしたら友達がダウンしちゃって今介護中だよ」




「他の友達は?」




「俺らを置いて先に行っちゃった」



俺がそう言うと




来那は口を歪ませて涙を浮かべた



そして詩穂も状況を把握する





「…ん?彼女ー??」



「あーそう彼女彼女」




よしいいぞ



やましいことがあればこんな簡単に彼女って言えるわけないもんな




来那の表情を見る




来那はまだ涙目だった





そして来那はこう言う







「私だけのりつじゃないとやだよ」