それからはあまり覚えてない。
恥ずかし過ぎた。
身体中にキスされ、喘がされ、鳴かされた。
意識が飛びそうになると頬を軽く叩かれて戻される。
初めての痛みになんとか耐えていると甘いキス。
明け方、ようやく離された身体は愛された証がそこら中にある。
「おはよう。眠れたか?」
恥ずかしくて顔が見れない。
「おはようございます。藤城様。」
「藤城様?」
ジロッと睨まれ慌てて
「翔悟さん…。」
ふわりと藤城様が笑ってどきりとする。
「雪…。」
昨夜は何度か聞いた気がする。
ちゃんと名前で呼ばれるのは初めて?さらに顔が火照る。
どちらかともなく唇を合わせる。
その先に進もうとする手を遮って
「駄目ですよ?朝ごはん作らなきゃ。」
「どうせ立てやしないさ。朝メシは奈緒が作ってるよ。お前は家政婦辞めたんだろう?」
と言いながら首筋や、肩に口づけしてくる。
「立てます!多分…。また、雇ってもらえますか?働くなら、ここが、翔悟さんのお側がいいです。」
「駄目だな。もう、雇えない。諦めろ。」
雇えないと言われ、ショックを受ける。
「お前は家政婦じゃなくて、俺のものになるんだ。俺以外に尽くさなくていい。」
「翔悟さん…。でも、私は働くのが好きなんです。もちろん、翔悟さんのために働けるのは一番ですけど。」
「しょうがないな。ただし!家政婦としてじゃないぞ。俺の嫁として、ここの姐として、俺のことを最優先にしろ!それなら許す。」
「あ、姐?え?」
戸惑っているとまた、翔悟の手が不穏な動きで雪を翻弄し始めた。


雪は相変わらず家事に勤しむ。
変わったことは奈緒と智仁、自分と翔悟が常に一緒にいること。

雪は心の底から幸せを感じている。