『う……うぅっ……!!』

だから、お別れが言えないから、だからあぁやって外に連れ出したりしたの?

だからずっと今までにないくらい話をしてくれたの?

嫌だよ…っ、嫌だ……。
あったかくなる春になったら一緒に散歩行こうって約束したじゃんかぁ……っ!

私はその場に泣き崩れた。

離れたくない。
まだ伝えたいこと伝えてないのに。
どうして……。



それから私は、棒人間のように過ごす日々が続いた。

悲しみにくれた私は、いつしか心を閉ざすようになった。溜息を繰り返し、笑わなくなった。

母「叶……。」

毎日、毎日、絶対に欠かさず幸がくれた本を読み続けた。

悲しそうに苦しそうに毎日来てくれる母や父を見ながら。



そんな日々が一年間続いた。
もう本もいつしか毎日読んでいるからボロボロになって。

手紙も大事に大事に飾って。難しそうな本も綺麗にたてかけて。


もう春になった。
本当は、一緒に見に行くはずだった景色。
元気にしてるかな。
風邪ひいてないかな。
泣いてないかな。
笑えてるかな。

……そんな中、私に、1通の手紙が届いた。

その日は、快晴だった。

母「叶っ!」

17になった私は、母が笑いながら駆け寄ってくる姿を見て不思議そうに首をかしげた。

『……どうしたの?』

母「こ、これっ!叶、幸君からよっ!!」

……幸から?!

急いで少し重たい手紙を受け取り、ゆっくりと丁寧にあけると、

幸のお母さんの手紙が思わず目に留まり、私は会ったことのない幸のお母さんからの手紙を取り出した。