部屋に戻って夜になり、どちらも布団に入りながらも話し続けた。

幸「将来は何になりたい?」

『将来?うーん、そうだなぁ、学校の先生かな?』

幸「どうして?」

『だって、無邪気な笑顔を毎日見ていたいから。』

そういうと幸があぁーって納得したようにコクコクと頷いた。

『幸の夢は?』

幸「僕の夢?……僕の夢はね、小説をたくさん読むことっ、あとはね、この世から人参がなくなること!」


『あははっ、それ絶対ないよ〜!』

ケラケラとお腹を抱えて二人共笑った。

幸「叶、今日は僕、どうしてか一緒に寝たい気分なんだ。…一緒に寝ていいかな?」

控えめに座って私に問うその声が本当に愛おしい。

『うん、いいよ。』

幸「えっ、いいの?!」

『こら、静かに。』

もう夜だからね。
ってシーッてすると、幸も嬉しそうにシーッて人差し指を自分の口元に持っていった。

ガサゴソと入ってくる音がして、向かい合わせみたいな形になった。

幸「あったかーー……。」


へにゃりと崩れた顔が面白くて、ついつい笑ってしまった。


『ふふっ、面白い』

幸「ふふ、あぁ叶、ただ君だけに届けたいって小説読んだ?」

『うん、読んだよ。』

幸「よかった……。
叶、明日か明後日のうちに、もう1度読み返しておいて。

あとその本あげるね。いい所とか書いておくね。」


なんだか、謎だけど、とにかく私はこくんと頷いた。

幸の顔が、くしゃくしゃで泣きそうな顔になったから。