どうしてこんな言葉が出たのか分からない。
……分からないままでいたかったのか。
いずれにせよ結論を出すのはもう少し後でいいかなんてことをつらつらと考えていた…────────
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「おい」
「な、なに……」
「なんでそんな離れて歩いてんだよ」
「……ごめん何言ってるか聞こえない」
「道の両端同士歩いてんだから当たり前だろ」
どうやら高潔に留まらずこの生徒会長サマは、ずいぶんと初らしい。
女避けのために共に通学するもその距離はもはや恋人同士の距離では無かった。
「てか翠、付き合ったこととかあんの?」
「失っ礼な!
……無いけど……」
「聞こえてんじゃねーか。
聞こえねーフリしやがって」
「……」
昨日の今日でこれとは……。
色々と予想外なことばかり。
「てっきり喧嘩も恋愛もマスターしましたって感じだけどな」
「……アンタ喧嘩売ってる?」
「オレに喧嘩しねーって条件突き付けたのは誰だったっけなー」
「……本当に憎たらしい口……!」
これでは特に関係が変わったというわけでもなく。
むしろ昨日のことなど夢なのかと思いそうになるがいつもはいない翠が隣にいるということは現実だ。



