オレの地元で上城翠と言えば。



男女問わず不良達を震え上がらせるほどの強さを持つ人物だった。


しかしある時から彼女は不良トップとしての強さを捨て、更正した。



トップが降り喜ぶ者。

密かに翠へ想いを寄せていた者は哀しみ。

憧れていた者はうちひしがれ。


色々あったが実質ナンバー2だったオレがトップへエレベーター式で昇格した。


だがオレはそれが気に食わなくて面白くなくて。


だからひとつ、同じ高校に入って翠を困らせてやろうと。


始まりはそんな軽い気持ちのはずだった…────────





【Get*You】






「だから……
その髪はいつ黒くしてくるわけ?」


「……ったくいつまでもうるせぇな。
別にいいだろーが」


「駄目に決まってんでしょ、高校生のくせして。
月曜までに直してきてよ」





どの高校にも一握りほどの僅かな割合で存在する勉強、運動共にパーフェクトな完璧生徒はいる。



その一握りの存在に目の前の彼女、上城翠はカウントされる。



成績優秀な上、生徒会長まで務めている。