【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…



…何となく思い出したかも。

あの日、いつもより早く家を出たから時間としては余裕があった。

電車で隣に立つ男の人が何だか体調が悪そうで少し気になってて。

その人は少し離れてるドアの方を見てはため息をつく。

生憎、電車は満員で降りるためには大声で降りることを宣言し、なおかつ人を押しのけかき分け行かないとダメだったから…


それに、ちらっと見えたスマホの画面には

『悪い、体調が悪くなって行けそうにない。
でも電車からも降りれない…どうしよう』

って書いてあって確信したんだ。


隣で苦しんでるのをどうにも見過ごせなくて声をかけた。

そしてそのまま外に出て、自販機で買った水と私のハンカチをあげたんだ。

額に汗が滲んでて、それも見過ごせなかったから。


すぐに次の電車が来て、私はその場を離れてしまったけど…


…あれがセンセーだったっていうの?