「相川さん、昨日は何かごめんね」
次の日、授業が終わると私の元に来てくれた先生。
自分の前髪をぐしゃぐしゃと掻き乱しながら
「もう本当。歳とると鈍感になっていくんだよね」
「…全然。何も無かったですから」
昨日のことを振り返りながら、昨日のことを封印する。
「え、でも…」
「ごめんなさい、先生。
私、好きな人がいるんです」
もう、中安くんを利用したりなんてしない。
ちゃんとした方法で。
「もし良かったら…
相談、乗ってもらえませんか?」
叶わないのなんて知ってる。
それでも隣にいたいんだから仕方ない。
この想いが消えてくれないんだから仕方ない。
「その人、すごく優しくて…私よりも大人なのに可愛い時があるんです」
「ギャップってやつだね」
「恋愛対象に入ってないってわかってはいるんですけど、やっぱり好きで」
「年の差とかはね、これから大人になればなるほど気にならなくなるよ。
恋愛なんてきっかけだから大丈夫。相川さんの方に振り向いてくれる時が来るよ、きっと」
鈍感って当たってますね。
私が好きなのは貴方なのに。
そんなこと言われたら…もっと諦めきれなくなる。
だって、"恋愛はきっかけ"なんでしょ?
私は今日もそのきっかけを探しに貴方と2人、この薬品の匂いに包まれた部屋で話をする。
世間話と恋話を。
【秘められた叶わぬ想い】 Fin......?