【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…



「智弘さんに限ってそんなことはないと思うけどね…」

「…そうだと思う」

「誰かいないの?」

「懐いてくれてる子ならいる」





高山 京香。この前まで彼氏のフリをしていた子。





「どんな子?」

「いい子だよ」

「その子じゃダメなの?」

「生徒に手を出せ、と?」

「私と智弘さんも…元は教師と教え子だよ。立場とか関係ないよ。好きになったらもうしょうがないんだから」

「もう"好き"がわからなくなった」





俺のこの気持ちは何なのか…

あの子といると楽しい。

でも彼女にとって俺は教師で、俺にとって彼女は生徒だ。

こんな関係あってはならない、と頭の中で強く思う。





「恋は考えるものじゃないよ。
気付いたら、もう少しこの人の隣にいたい。話していたい。自分のこと特別に思ってほしいってどんどん欲張りになっているの」

「俺は…どうかな」

「きっとそのうち、その子のことを生徒としてじゃなくその子自身を見るようになるよ」





立場も、何もかも取り払って俺は彼女を見ることができる?


バレてしまえば俺もあの子も罰を受けるかもしれない、そんな関係を築ける?



俺にもわからない。


--Yuya:Side End--