彼女の名前は青山えりか。
成績優秀で運動もできて、美人で。
その上、私の憧れを現実にしたような、さらさらストレートの黒髪の持ち主。


「…小林くんはただの友達って言ってたもん」


私も彼女のことは以前から気になっていて、前に一度、小林くんにさりげなく聞いてみたことがあった。


「彼女の方はそう思ってないみたいだけどね」


まきちゃんの言葉がまた痛いところを突く。
私もそれは分かってた。
だって青山さんの小林くんを見る目は、私と同じだから。


小林くんが言うなら、青山さんは本当にただの友達に違いない。
だけど、青山さんが小林くんに顔を寄せて仲良さげに笑ってるのが見えると不安で堪らなくなる。


友達でもなかった私とお試しで付き合ってくれた小林くんは、仲のいい青山さんに告白されたらどうするんだろう。


今、小林くんの彼女は私。
だけど、それはあくまでお試し。
いつだってこのポジションは不安定だ。