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小林くんと付き合い始めて一週間が経った、ある日の休み時間。
彼のクラス前の廊下で、私は映画の前売り券の入った封筒を握りしめながら息を整える。
「───たまたま応募した懸賞に当たっちゃって、一緒にどうかな…」
あ、しまった。
『小林くんが前に見たいって言ってた映画だから』が抜けてた。
なんて私がブツブツ呪文を唱えるようにつぶやいてると、小林くんが後ろから現れた。
「何してんの、芦田」
うわっ。
突然の小林くんのアップに心臓が飛び跳ねる。
「ん?」
映画に誘う練習をしてたのを聞かれてたら恥ずかしすぎるけど、小林くんはいたっていつも通りで、どうやら聞かれてなかったようだ。
ホッとした私は気を取り直して映画チケットを見せる。
「あの、これ。
たまたま懸賞が小林くんで、見たいって言ってたから当たっちゃって…」
練習も虚しく、激しく挙動不審になっていると。
小林くんはプッと吹き出した。
「『一緒にどうかな』じゃないの?」
!!
やっぱり聞こえてたんだ。
途端に耳まで真っ赤になる私。
「さんきゅー。
楽しみにしてる」
小林くんはそう言って私の手からチケットを受け取ると、手を振って教室に入って行った。
小林くんと付き合い始めて一週間が経った、ある日の休み時間。
彼のクラス前の廊下で、私は映画の前売り券の入った封筒を握りしめながら息を整える。
「───たまたま応募した懸賞に当たっちゃって、一緒にどうかな…」
あ、しまった。
『小林くんが前に見たいって言ってた映画だから』が抜けてた。
なんて私がブツブツ呪文を唱えるようにつぶやいてると、小林くんが後ろから現れた。
「何してんの、芦田」
うわっ。
突然の小林くんのアップに心臓が飛び跳ねる。
「ん?」
映画に誘う練習をしてたのを聞かれてたら恥ずかしすぎるけど、小林くんはいたっていつも通りで、どうやら聞かれてなかったようだ。
ホッとした私は気を取り直して映画チケットを見せる。
「あの、これ。
たまたま懸賞が小林くんで、見たいって言ってたから当たっちゃって…」
練習も虚しく、激しく挙動不審になっていると。
小林くんはプッと吹き出した。
「『一緒にどうかな』じゃないの?」
!!
やっぱり聞こえてたんだ。
途端に耳まで真っ赤になる私。
「さんきゅー。
楽しみにしてる」
小林くんはそう言って私の手からチケットを受け取ると、手を振って教室に入って行った。