僕はただただ平凡な毎日を何の目標も夢もなく過ごしてきた。
僕の隣の席の子は七瀬 珠侑といってすごく綺麗で、可愛くて、誰もが羨むような女の子。
そこらへんの男子は大体1回でも良いから付き合いたいって言う奴が多い。
まぁ、僕なんかは相手にしてもらえないってわかってるから、話しかけてすらいないけど。
僕は、ごく普通の家庭に産まれて、ごく普通に育ってきた。まぁ、友達とワイワイするのが苦手で、輪の中に入れず、周りからは冴えない奴だと思われているんだろうけど、僕自身、そんな僕が可愛そうだとは思ったことは一度もない。
それに比べて、隣の七瀬さんは周りにちやほやされて生きてきたんだろうなって、何不自由なく生きてきたんだろうなって感じる。
「おい、兼原!お前そこ席変わってくれよ!」
今日何度目かわからないが同じ言葉をさっきも聞いた気がする…。
今日席替えで、七瀬さんの隣になってから、今まで一度も喋ったことのない奴らまでが、僕の所に押しかけてきて、決まっていう言葉。
"席を変わってくれないか"
別に、僕だって七瀬さんが嫌いなわけじゃない。綺麗だなって思ってたし。
でもそこまで変わってくれって言われたら変わろうかなって思ってたりもするが、流石に人が多すぎる。
「…あー、えっと…。」
思ったことがあまり口に出来ない僕は、みんなに注目される中出た言葉がそれしか無かった。
