緋彗くんが来るまでの間だけ少し……
そう心の中で呟いた私はいつの間にか意識を手放していて……
ふと誰かが近くまで来た気配がして軽くなった瞼を開く。
すると視界一杯に緋彗くんのアップ。
「……緋彗……くん……?」
そしてその綺麗な顔はどんどん近付いてそして……
「……っ!」
唇に感じた柔らかな感触これは……
き、きききキスぅ!?
「……ん?
んん……」
「おはよ。
よく寝てたね、眠り姫」
「……へ?
……っひ、緋彗くんんんん!?」
次に意識が戻ってきた時には……
なんと目の前に緋彗くんが。
あれ!?
ちょっと待って……!
さっきのキスは……夢ぇ!?
「ご、ごごめん、寝ちゃってた……!
そ、そうだ……!
あの……い、衣装が……あれ!?」
どうやら夢だったようだ。
目の前には涼しい顔で覗き込んでくる緋彗くんがいたからだ。
慌てて衣装のことを伝えようと衣装を手に取った私は感じた違和感に気の抜けた声を上げる。
先ほどまで確かにボロボロだったはずの衣装が元通りになっているではないか。
「あ、あれ……あたし夢見てた……?」
「魔法の仕業ってね?」
「えっ……?」
「……はは。
そうだったら格好良かったけど残念っ」
「も、もしかして……緋彗くんが……?」
「まぁ、そんなとこかな?
お婆ちゃんっ子でさ、オレ。
服作るのとかお婆ちゃん上手くてそれでオレも」
だから本当は衣装作りに回りたかったんだと付け足した緋彗くん。
「それに犯人の破り方も甘かったから九死に一生を得たってやつだし」
「そっかぁ……っ。
本当に良かった……!
緋彗くん、ありがとう!
助かったよー……!」
「どういたしましてっ」



