……あーあ。
私も選択ミスの仲間入りだ。
多分、ただじゃおかれないんだろうな……。
それでも今はそこまでして意思を貫いた自分を褒めたくなった。
漫画を読んだ時には理解できなかったヒロインの心情を少し分かったような気持ちで。
「……っあ。
そうだ……教室行かなきゃ!」
今は自分がするべきことに集中しなきゃ。
「遅かったね?」
「ご、ごめん……っ。
お昼とるの遅くなっちゃって……」
「あ、そうだった?
急かしちゃったかな……」
「う、ううん……!
そんなことないよ……っ。
気にしないで!」
まさかヒロインを交代してくれだなんて迫られたとも言えず。
適当に出任せを言っておいた。
「こ、これが……衣装……?
凄い出来映えだね……っ」
質素な空き教室に華を添える完成された私の衣装。
予想を遥かに上回る完成度に思わず感嘆の声が洩れる。
「でしょ?
手芸部の子の腕前に感謝だよー」
「ぷ、プロさながらだねぇ……っ」
これを私が着る……
「い、衣装負けしそう……あたし……」
「そうかなぁ?
凍堂さんモデルみたいだから似合うよ」
「緋彗くん……天然小悪魔だ」
「えぇ?
Sの次は小悪魔ー?」
鈴を転がすような綺麗な笑い声を零す緋彗くん。
少し幼いその笑顔はきっと誰もを幸せにしてしまうことだ。
「じゃあ放課後一回着てみよっか」
「そ……そうだね!
サイズ……合うかな……」
「なーに言ってんのー。
あんだけ採寸したから大丈夫だって?」
「そうだけどー……。
ふ、太った……かも」
「おぉ、言われてみれば」
「……」
「だ、だから冗談!
てか凍堂さんは太って丁度くらいだよー」
「いやぁ、それは無いねぇー?」



