「し、白雪姫!」
「白雪姫が……!
白雪姫が生き返った!」
そして再び戻ってくる小人達。
「ご機嫌いかがですか、白雪姫?」
緋彗くんはそんな私をからかうかのような笑みを私だけに見える角度で浮かべていた。
……さ、い、あ、く、!
緋彗くんに口パクでそう伝えてから最後のセリフをどうにか言い終える。
「こうして王子様と白雪姫は結婚して、いつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさっ」
頭が真っ白な私を置いてきぼりでナレーションのセリフと同時に幕が降り始める。
「……こ、これでもあたし……
ファーストキスだったんだからね……!」
足元まで幕が降りた時、小さな声でクールな顔をしている緋彗くんへ抗議する。
モテる緋彗くんと違ってキスの一つでも文句をつけたいではないか。
「本当に今日が初めて?」
「……どういうこと?」
観客へ手を振っていた緋彗くんも幕が降りきると私へ真っ直ぐ視線を投げた。
「白雪姫の眠りを覚ますのは王子様のキスだけ」
「だから……?」
「目を覚ました時にオレがいたのは今回だけ?」
「……え?
あ……まさか……っ!?」
衣装が切り裂かれていたあの日……
確かに目覚めたら緋彗くんがいた……
と、いうことはあの日のキスは夢じゃなくて……
「……ふはは。
凍堂さん顔真っ赤だよー」
「わ、分かってるから言わないで……!
と、と言うか緋彗くん好きな人……」
「疑ってるー?
酷いなぁ。
キスは……好きな人にしかしないんだよ?」
「なぁ……っ!」
「頑張る前向きなあなたのことを好きになりました。
こんな王子様から告白された心境は?」
「さっ、最悪ーっ!!」
また明日になれば劇の余韻から小言を言ってくる女の子もいる日常に戻るのであって。
描いていた平和な理想は遠ざかってしまったけれど。
そんな“最悪”な日常にも……
あなたがいてくれるなら……
もう少し楽しんでみるのも悪くないかも……っ?
【END】



