第15章【黒酢の真実】










翌朝、おにぎりを頬張るカドクラに2年生の学年主任 ムトウがまたやって来た。



「おはようございます。」



おにぎりがまずくならないうちにカドクラは最後の一口を飲み込む。




「カドクラ先生は前は黒酢高校にいたんですよね?」


「はい。」


「ちょっと嫌な噂を耳にしたんですけど。」



ムトウはおでこにしわを寄せる。





「噂ですか?」


一旦カドクラの中では終わっていた違和感が蘇る。




「カドクラ先生が黒酢高校の生徒に暴行を加えていたとか・・
ゆすりまがいなことをしていたとか・・」



「そんなこと誰が言ってたんですか!?」



「いや、うちのクラスの生徒が話していたのがちらちら聞こえてきまして。

まさか、事実じゃないでしょうな?」


「いや・・」



カドクラは歯切れが悪い。





「なぜすぐに否定しない?」


ムトウのしわが1本増える。













ガラガラ


「先生!」


職員室に流れる微妙な空気を2年6組の生徒 オオシマが断ち切る。



カドクラはオオシマに呼ばれ職員室を出る。