第23章【届かぬ想い】










翌朝


カドクラが2年6組を訪れると、そこにはいつも1番乗りのオオシマではなく、ノノムラ マキがいた。




「ノノムラ、おはよう。」


「おはよう先生。」


「宿題でもやり忘れたの?」


「たまには早く来てもいいでしょ。」








カドクラは黒板消しを掃除し始める。




「ねぇ先生…」


ノノムラは席を立ちカドクラの傍に来る。



「どうした?」


「タカハシ君がやったの?」


ノノムラはカドクラに尋ねる。



「何が?」


「みんな噂してる…。」





「・・・まだ分からない。」



カドクラの精一杯のごまかしだった。




「先生、タカハシ君最近ずっと孤立してる。
“危ない奴”って言ってみんな避けてる。」


「お前もか?」


「私はそんなこと思ってない。
…でも…何もできない。」


「自分を責めちゃ駄目だよ。大丈夫。
ノノムラみたいにタカハシをそういう目で見てない子はたくさんいるよ。」



「先生も?」


「俺はみんな“教師の目”で見てるだけだ。」