第21章【暴走する危機】










夜になっても暑さが残る7月。


平日の夜遅くは人の気配がまるでない。







ザッ ザッ ザッ


一人の男が車通りも少ない道路のど真ん中をゆっくり歩いている。




「ただきみを…お-もい
しあわせをねが-い♪」



鼻唄を歌いながら、男はゆっくり歩く。



「くれゆくたそがれの-
なか-にいた-♪」




やがて、男の反対側からスーツを着た男がこちらに歩いてくる。




「いきてる それだけが-
かわりのいないすと-り-♪」




ずっと鼻唄を口ずさみながら、男は持っていたかばんの中に手をのばす。





「い-つまでも-
きみのよこがおをみていた-♪」




反対側から歩いてきたスーツの男とすれ違った後、向き直る。




「教頭先生、…こんばんは。」






ドッッン




男はかばんから取り出した鈍器を思いっきり振り降ろした。