ーーザワザワーー


…なんなんだ、ここは。


あの後、桃華を助け、彗郎は…想像に任せるよ。

それより、今のこの状況はなんなんだ??


みんながみんな、体育着を来て、頭にハチマキを巻いて元気に騒いでいる。


「おはよ、春樹!お前なんで制服で来たんだよ」


は?制服で来たらダメなのかよ?


「ほんとだよ、もう。寝惚けてる?今日は体育祭でしょ??」


たい、いく、さい?


「体育祭…?」


体育祭ってあれか?運動会的なやつか?


「もう、昨日のHRで先生が言ってたでしょ!」


…あー、昨日は桃華を心配しすぎて集中してなかったからなぁ…



「そーいえばぁ、橘くんが走ってるところぉ、ぁんまり見たことないかもぉ!」


なんて話しかけてくるブリ子。


「…たしかに。春樹、お前体育祭とか出たことあんの?」


「…ねぇ、かも」


中学の時は今以上に荒れてて中学になんてまともに行ってなかったからな。


これは正春も知らない事実。

中学は正春とも桃華とも別々だった。

一緒なのは…アイツだけ。



「ええっ、中学校の時は??」


「…まぁ」


まさか、荒れてたとは言えねえよなぁ。


「ていうか春樹、絶対足速いよね??」


「足の速さとか競ったことねえよ」


「いーや、ぜってー速ぇわ。もし走った時ビリとかだったら爆笑してやろうぜ!」


ビリじゃなければいいんだろ。俺は目立ちたくねえんだよ。


「春樹なら1位取れるよね〜。まさか、2位、なんて言わないでしょ??」


「いや?もしかしたら超足遅いかもな!!変な走り方で一番おせえの!!ははっ、想像してたら笑えてきたっ、くっ、」


…こいつら。黙って聞いとけば好き勝手言いやがって。


「見とけ。俺より足が速え奴なんていねえよ」


俺をバカにしたこと、後悔させてやる。


…体育祭、少しだけ楽しみ、かも。