その夜、寝る前に桃華にLINEをした。


『今、電話してもいい?』


返信が来るのを待っている。


…まだかな。
普段の俺からなら絶対想像つかないだろうな。基本、女子の話さねぇし。

そんなことを考えていたら画面がふっ、と青白く光った。


『大丈夫だよ』


よっしゃきた。



RRRRR…


「もしもし?」

スマホから聞こえてきた声は昼間会った時より少し声が高くなっていた。


「もしもし、桃華?」

「うん!そーだよ!」

「今日の昼間は星桜がごめんな?」

一応、あの場では星桜と呼んでいたから星桜、と紹介する。


「大丈夫!」

「で、星桜のことなんだけど…。アイツ、彼女とかじゃないから」


「え?違うの?」


桃華以外を好きになるとか有り得ねぇ…
と言えるはずもなく。


「あぁ。アイツは俺の姉ちゃん」


「…おねえ、さん?」


「あぁ」


「……良かったぁ…!」


…どういう意味だ?ヤキモチか?ヤキモチなのか?いや、桃華に限ってそれはないな。

「よかった、って?」

「いや…なんでもないよっ!」


「…気になるんだけど」

少し拗ねた感じで話してみる。

「うっ…な、なんでもないよ。そ、そういえば!」

うまく話をそらそうとしてる。聞いて欲しくないならそれに乗るまでだ。

「ん?」

「今日、本当は杏美ちゃんと遊ぼうって言ってたんだけど…急に遊べなくなっちゃって」

杏美ちゃん…?
あぁ、あの女か。


「急な用事でも入ったんじゃないか?」

「ううん、違うの。風邪引いちゃったみたいで…」


風邪、か。
襲われそうになってました、なんて言えないもんな。


…やっぱり、安藤は怪しい気がするんだよな。


「春樹?どうしたの?」

「あ、ごめん。ちょっと考え事」


「大丈夫?相談できることならしてね??」

相談か。できることだったらよかったのにな。


「うん、ありがとな。じゃ、また明日。おやすみ」


そう言って電話を切った。


今日は久しぶりに情報収集でもするか。