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「いつまで待たせんの?」
「もうちょっと待ってよ!」

さすがにあたしも待たせすぎたと思うけど、今回は仕方ない。
だって謙吾のお母さんとお父さんに挨拶しに行くんやから緊張する。

ライブ前に行く予定やから遅れるとずれ込む可能性もあるから急がんとあかんねんけど、やっぱり緊張する。

「そんな緊張するもんか?何回も会うてるやん」
「そうやけど!自分は終わったからって余裕な表情するんやめてくれへん?!」

あの後、謙吾は家に来て、あたしの両親に結婚の旨を伝えに来た。
お母さんもお父さんもかなり喜んでくれて、謙吾を泊まらせもした。

最初は戸惑ってたけど、お父さんと晩酌もして朝食も一緒にとってたからええ感じやったんやろう。

「あ~、緊張する!」

バクバクする心臓を抑えながら深呼吸を繰り返す。

「大丈夫やって。もう言うてるから」
「なんて?!」

何を言うてんの?!って勢いよく謙吾を見るけど、運転中にあたしを見ることはなく黙って謙吾の横顔を睨むように見つめてたら信号で止まった時にあたしを見た。

「圭以外との結婚は考えられへんから承諾するしかないって」

それって強制じゃないん?!って言うたら「自分の嫁を自分で決めてなにが悪い」って自信満々に言われて言い返せんくなった。

涼から聞いてた両親への挨拶とはまた違うし、この緊張がしんどいけど、謙吾が傍にいてるってことだけで心地よくもなる。

これからの未来がどうなっていくんか予想も想像もでけへんけど、高成くんと涼みたいに互いを思い合える二人みたいになりたいって強く思った。

「あ~、緊張する」
「まだ言うてんのか」
「・・・はぁ」
「俺らが部屋でやってたん知ってたし、それを知られる以上に怖いもんなんてないやろ」
「は?!」
「な?」
「逆に顔合わせづらいわ!!」




きっと幸せになれる、はず……?






END.