私の恋した誘拐犯【完】

我ながら忙しい心だと思う。



夢だったんじゃ、なんて不安にもなったり。



だけど洋くんの胸で寝ていたという事実が全てを物語っていた。



私の頰に残る涙の跡。



夢なんかじゃない。



私は洋くんと両想いになれたのだ。



(両想い…)



現実だと分かってるのに、どうしても実感が湧かない。



目の前で眠る洋くんが私のことを好きだなんて…