私の恋した誘拐犯【完】

体が揺れて目が覚めた。



じんわりと温もりが伝わって、ハッと気を確かにしたとき



「ぉわっ」



自分が洋くんの胸で寝ていたことに気がついた。



(泣き疲れて眠るって…赤ちゃんじゃないんだから…)



ありえない、と自分に呆れるのと同時、洋くんの体勢が変わっていないことにも気がつく。



私が起きないようにと、洋くんは体勢を変えずにいてくれたのだ。



(散々泣いた挙句こんな無理までさせるなんて…)



最低、と頭を抱えるもさっきまでの記憶がフラッシュバック。



一気にカァッと頰が熱くなった。