私の恋した誘拐犯【完】

「この気持ちは捨てなきゃダメだって分かってたよ」



洋くんの手が私の頰にそっと触れる。



「分かってたけど…」



私はそんな洋くんの手に、自分の手を重ねた。



洋くんは少しだけ驚いたような顔をして、



「捨てられるわけないんだよな」



やがて微笑んだ。



そのまま私の頭を自分の方に引き寄せると、ぎゅっと抱きしめて



「…ずっと好きだったよ」



まるで囁くように、優しい声で呟いた。