私の恋した誘拐犯【完】

「ちーちゃんの幸せは、誰よりも俺が願ってきたはずだった」



まばたきができなくなるほど



息が詰まってしまうほど



言葉にできない時間。



「願ってきたはずだったのに」



口元に浮かんだ笑みは、少し呆れているようにも見えた。



「他の誰かがちーちゃんを幸せにするなんて、考えられなかった」




「…洋くん…」




「なんで……俺がずっといたのにって」