私の恋した誘拐犯【完】

耳の痛くなる沈黙は、しばらく続いた。



初めて沈黙がうるさいと思った。



「…あのさちーちゃん「わ、私…!」



急に口を開いた洋くんに自分の声が被さる。



洋くんも私も言葉を詰まらせた。



(でも、私から言わないと終わっちゃうかもしれない)



「あ、あのね洋くん…、私……!」



心臓がバクバクして声が震えた。



心臓の音で体が揺れた。