私の恋した誘拐犯【完】

「ねぇ洋くん…」



なんの反応も示さない洋くんの腕を掴み



「ねぇってば……洋くん……!!」



声を荒げたときだった__



「言いたくないんだよ……!!」



私が掴んでいたはずの洋くんの腕。



気づけば、私の腕を洋くんが掴んでいた。



聞いたことのない怒鳴りにも似た大きな声。



心臓が嫌に鳴る。