私の恋した誘拐犯【完】

「ちーちゃんを連れ去ったのは……頼まれたからなんだよ」



「頼まれた…?誰に…っ」



聞いてる途中でハッとした。



そんなの1人しかいなかった。



「ちーちゃんの、お父さんに」



テレビから流れる音楽。



今の雰囲気に似つかわしくないほどに愉快で明るくて、元気なCM。



「パパに…?」



聞き返した私から目を逸らす洋くん。



もうこれ以上は話したくないとでも言うように、洋くんは口を閉じた。