私の恋した誘拐犯【完】

自分から家族の元を離れたのは分かってる。



戻ろうともしなかった私が、今更家のことを気にするのは虫がいいのかもしれない。



それでもおかしいことはおかしいと、全身が叫んで仕方がない。



「ねえ洋くん、私は……私はここにいるよね」



「ちーちゃんはちーちゃんだよ。他の誰でもない」



「じゃあ……!さっきの人は…誰なの…」



洋くんの目がユラユラと揺れる。



「教えて」



そんな揺れる目を真っ直ぐに見つめ伝えると、洋くんはゆっくりと口を開いた。