私の恋した誘拐犯【完】

「ねぇ洋くん…」



まるで何事もなかったように、ニュースは次のニュースへと移った。



私を置いてけぼりにして。



「ねえ洋くんってば……!」



私の声にゆっくりと振り向いた洋くんの顔は



「…っ」



辛くて苦しい、そんな表情を浮かべていた。



「な、何でそんな顔してるの洋くん…」



「…ごめん」



聞きたいのはそんな言葉ではなくて。