私の恋した誘拐犯【完】

「…話しあるんだって」



消え入りそうなたくちゃんの声にもう耳を塞いでしまいたかった。



体を離し向き合ったその顔は、今にも泣き出してしまいそうなほど苦しく歪んで。



なのに私を見つめるその目は、何かを決意したようなまっすぐな目をしていた。



ゆっくりと口を開いたたくちゃん。



「もうやめよう、千織」



もみじが



散った。