私の恋した誘拐犯【完】

「綾瀬だって、本気だからここにいるんだよ」



莉奈が遠い目でたくちゃんを見つめ



「試合だって、自分の気持ちにだって」



何かを伝えるように私を見た。



「…うん」



『チャンスをくれよ…頼むから』



たくちゃんのすがるような目を今でも覚えている。



私はたくちゃんに対して、失礼なことをしてるのかもしれない。



だけどもう分からなかった。