私の恋した誘拐犯【完】

「拓巳くんのどこを好きになったの?」



「あ、え、えっと…」



心なしか顔が近い気が…



自分の心臓の音が早くなるのが分かる。



「あ、お、おおお、男らしいところだよ…!」



「ふーん」



そう興味のないような返事をしたあと、洋くんはパッと私から離れた。



力が抜けていく感覚に、つい座り込んでしまいそう。



(洋くんわざとじゃないよね…)



今までなら、わざわざスキンシップをとるようなことはしなかった。