私の恋した誘拐犯【完】

こんなに近くにいる。



少し手を伸ばせば触れられる。



なのに何でこんなに遠いの?



「よかったね、ちーちゃん」



言わないで。



洋くんの口からそんな言葉聞きたくない。



「…うん」



聞きたくないんだよ。



家についても足取りは重く、明日きちんと応援できるかな、なんて。