私の恋した誘拐犯【完】

「そういう千織は」



「…え?」



パチン、と資料を一つ止めると、たくちゃんは私を見る。



「そういう千織はどーなんだよ」



「ど、どうって?」



私は作業を止めることなく、トントンと資料をまとめながら聞き返した。



「だから、好きなやつとか」



「おわぁっ」



まさかの逆質問に、まとめていた資料を手放しそうになってしまった。



なんとか持ちこたえ、安堵の息を漏らす。