私の恋した誘拐犯【完】

講義室に着くと、先生が何やら大量の資料を用意して待っていた。



何事かと、眉を寄せる。



「お、きたきた。これ今日までに全部ホチキスで止めて欲しいんだけど」



正気だとは思えない量に、私は言葉を失った。



「装飾のことは気にすんな。俺がちゃーんと指示するから」



私の心配してることはそうじゃない、と思っても、先生は得意げに親指を立てている。



「先生、これマジ?」



「大マジだぞ綾瀬」



「それ前にどっかで聞いたな…」



先生の言葉に頭を抱えながら、ボソボソと何かを言うたくちゃん。