私の恋した誘拐犯【完】

手に取った水は、ひんやりと冷たかった。



「何で今更そんなこと聞いたの?」



「いや、気になって」



たくちゃんはそれだけ言うと、持っていた炭酸を、勢いよく自分の口へと流し込んだ。



情けなく、心臓が鳴ってしまっている。



「で?俺のことなんか言ってた?」



キャップを閉めながら、たくちゃんは私に問うた。



(何でこんなに突っ込んでくるんだろう…)



「あ、うん…私に男の友達ができて寂しいって。お父さんの気持ちが分かるって言ってた」



「ふーん」