「そういうことですわ。あの方は昔から手段を選ばない主義でもあります。今回はあなたを守るためという名目で、離宮に住まわせるまでに至ってますでしょう?」

「え……?」

実は、何度聞いてもウォル殿下は話をはぐらかすばかりで、理由についてはよくわかっていなかったけど。

「一応、守るためなのですよ。離宮とは言っても城壁の中、まして、王弟の住む離宮です。後宮と同レベルの警備体制を敷いています」

「そ、そうなんですか?」

人は少ないのに、そんなレベルって、どんななの?

びっくりしていたら、王妃殿下は深い溜め息をつく。

「つまり、王族並みの警護を要求したわけですが……要は、姫は自分の婚約者だと暗にアピールもしているんですわ。いわば、姫は準王族の扱いです」

ギョッとした私の目と、困ったような王妃殿下の視線が合った。

「故に、国王陛下からの伝言です」

「は、はい」

「姫が本気で嫌だと思うのなら、私が姫の嫁ぎ先を探してくださるとのことよ。それでウォル殿下が離反しても仕方がないと。振り返らせなかったウォル殿下が悪いのだと」

国王陛下が、いち貴族の娘の嫁ぎ先を斡旋って……なにより、ウォル殿下離反覚悟ってどういうこと?

思わず目を真ん丸にしてしまった私に、王妃殿下は寂しそうな表情をした。