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パッチリ目を開けたのは、薄暗い部屋。

その瞬間、思ったのは『あ。生きてるんだ』である。

なんか近い記憶に似たようなことがあったなぁ。

でも、状況は前回よりも悪い。

手が触れた感覚からすると、絨毯も引かれていない石の床の上。頼りない、小さな蝋燭の灯りだけが部屋を照らし出している。

冷たいから起き上がろうとすると、後頭部に痛烈な痛みが走った。

声もなく呻いて、そっと頭に手をやると、コブができている。手を見てみると血までついていた。

……力いっぱい殴られたかな。

頭をあまり揺らさないように起き上がり、ゆっくりとまわりを見回した。

家具もなにもない部屋。木製のドアがひとつあるだけで、床も壁も石造り。

広さはそんなにない。牢屋みたいな造りをしてる。

それから身体の状態を確認。

衣服の乱れはない。城に行ったときのドレス姿のまま。

両手両足は自由で縛られてもいない。

頭は痛いけど、目眩はしていないみたい。

……よし。冷静だね、私。

そこまで確認して、小さく息を吐いた。

なにがなんだかわからないのは事実。そしてここがどこかわからないのも事実だ。

時間をかけて立ち上がると、硬い床に寝ていたせいか、身体のあちこちも痛かったけれど、我慢できないこともない。

ドアに近づいて、ドアノブをそっと回して開かないのを確認する。

当たり前だよね~。この状況で鍵もかかってなきゃ、こっちだって驚くよ。