「あ、春翔!おはよっ」
「っ麻希!…うっす」
「もーっそれ挨拶じゃないって言ってるでしょ〜!雨谷さんもおはよう!」
「っ…おはよう、佐伯さん…」
「ねぇ春翔〜、宿題終わってる?」
「お前またやってねーの?」
「ちょっと〜!笑わないでよー!寝ちゃったんだから!」
「寝るのが悪いんだろ〜〜ばーか」
「わ!髪セットしてきたのに〜〜」
あぁ、いやだ、いたくない、ヤダヤダヤダ。
ーーーその子に笑いかけないで。
ーーーその子に触れないで。
ーーーその子と仲良くしないで。
自分の中の黒い感情が沸々と湧き上がる。
止めららない、だめだ…笑えない上手く笑えないよ。
「…や!雨谷!」
「へっ…あ、なに?」
「なにぼーっとしてんだよ?」
「あぁ…ううん、なんでもないよ」
「……ふーん。無理すんなよ」
「ありがと、はる」
上手く笑えてたかな。
春翔のすきな人は麻希ちゃん。
わかってる、わかってるんだよいやでもわかる。
でもわかってる?……春翔。
春翔と麻希ちゃんが付き合ってたのは前なんだよ?
もう麻希ちゃんには彼氏がいるんだよ?戻れないんだよ?
私だけもう見てくれたっていいじゃない…
春翔が麻希ちゃんを忘れるために私を利用してるのはわかってるよ。
「……はる」
「んー?」
「だーいすきだよっ」
「っ…ばーか、知ってるよんなこと」
わかってる。
一瞬苦しそうな顔して、下手くそな笑顔で私の頭を撫でる。
ーーーごめんね、苦しめて。
絶対春翔は私を“好き”と言ってくれない。