響子は家に着いてから祐介のことをずっと考えていた。

校舎裏で壁に寄りかかってポケットに手を入れて待っていた祐介。私のことを可愛いと言ってくれた、キスされるのかと思ったら寸前で止めた。


1番の萌えは、俺が触れたい時にキスする。頭ぽんぽんされたこと。

響子の頭の中は、祐介でいっぱいでとにかく睡眠の邪魔をしてくる。


祐介も、家で響子のことばかり考えていた。
なんで、今日の響子はあんなに可愛いって思えたんだろう。

いつもの笑顔は変わらないのに...と祐介も眠れずにいた。

朝になり、登校する時間になっても起きれず大幅に遅刻をしてしまった2人。

「あー、もう遅れる!授業間に合わない!」
「やべっ!こりゃ完全に遅刻だー!」

2人それぞれ慌てて制服に着替えてダッシュで走り校門まで着いた。

「はあ、はあ、はあ、はあ」
「疲れすぎてだめだわ」

当然、校門が閉まる時間も決まってるわけで。閉ざされた門の前で息を整える2人。

「間宮、お前遅刻?」
「岡崎だって、そうじゃん」
「あのさ、さぼらねえ?俺達」

「は?なに言ってんの?授業さぼる気?」
「今から行ったって、目立つだけだろ。それにこの高い門超えられると思ってんの?そんな短えスカートで」

響子は、一瞬スカートの裾を押さえた。
「いやだ、岡崎のエッチ!」
「俺は短えスカートでって言っただけだろ?それよりどうすんだよ、これから」
「さぼる!」

「いくら持ってる?」
お財布を開けて確認する響子。
「5000円ある」

「よし!じゃあ2人合わせて1万あるから夕方まで遊べんだろ?」
「えっ、遊ぶの?」
「さぼるってそういうことだろ?はい、決まり。行こうぜ」

祐介は無意識に響子の手を握って歩き出していた。
「えっ、ちょっと」
「いいから、今日は間宮と仲良くなれそうな気がするんだよ」
祐介はふっと笑った。

ちょっと待って!今の岡崎めっちゃカッコイイんだけど。なんでいちいちカッコイイことばっかりするかなあ、男子って。

教室では。
祐介と響子の席だけ、ポツンと空いていた。

そして、優馬は祐介宛に手紙を書いていた。
"僕をほったらかして何処行ってんだよ。許さないからな"

優馬の筆圧には、怒りがこめられていた。