次の日、優馬のクラスは朝から賑わっていた。本が好きな優馬は、席に座り本を読んで祐介を待っていた。

ガラッ。教室の引き戸を開けて中に入ってきた祐介。HRが始まる5分前。

祐介が引き戸を開けて一番最初に目に飛び込んできたのは。響子が女友達と楽しそうに話しているキラキラした笑顔だった。

やべ!間宮の笑顔、可愛い。なんかいつもより超可愛いんだけど...。祐介は、響子の笑顔に見惚れてしまった。

優馬はいつも登校したら必ず、祐介とハイタッチしてスキンシップをとる。
席は列の後ろから2番目が優馬、後ろが祐介という席順だ。

祐介が手を出さなかったのが面白くない優馬は頬を膨らませて怒っている。


祐介は、カバンからノートを出して何かを書き始めた。そして小さく破った紙を折り、窓側にいる響子の席までクラスメートに回してもらう。

「これ、間宮に回して」
どんどん回され響子に届く。

響子は、祐介からのメモを見る。そこには...。
"おっす!今日の放課後、校舎裏に来てほしい。話がある"と書かれていた。

響子は、ちらっと祐介を見る。響子にウインクした。

響子は、びっくりした顔で祐介を見ている。
祐介もすかさず、今度は投げキッスをした。

眉間にしわを寄せた響子。
「ちゃれー」と一言。

前を向いたら、今度は優馬が後ろを向いて手紙を渡す。その内容とは。
"朝の挨拶忘れるなよ。放課後体育館裏に来て。僕怒ってるから"と書かれていた。

「ちっ。放課後はだめだって言ってんだろ」
背中越しに小さく怒る。

「おい、今日はだめだ。帰ってからな」
「もっとだめ!」
優馬が口にすると。

祐介は頭にきて優馬のお尻をつねった。
「いてっ!」
と、つい大きな声を出してしまった。

「こら!香月、どうした?」
「えっ、あ、なんでもないです...」
「急にでかい声出すなよ」
「す、すいません...」

「へっへー、怒られてやんの!」
憎まれ口をたたく祐介。
「お前のせいだからな」
と優馬はかなり機嫌が悪くなった。

放課後になり、祐介は校舎裏へ行こうとする。「帰ったらな」
優馬に一言発して、行ってしまう。

「ちきしょー、僕ぐれちゃうぞ!」
とプンプン怒って教室を出て行く優馬。


校舎裏に向かう祐介はドキドキしていた。