さっき俺が女子と話していたひっそりとした中庭の奥。
一人で闇に溶けそうになってそこに立っていた。

そんな杠を見たのは偶然だった。俺は1度部活に行ったが、生徒手帳を忘れた事に気づいて探しにいたのだ。

ここで杠と会ったのはいい事なのか悪いことなのかも分からない。

ここで会わなければきっと悩まなくてすんだ。

それでも会ったんだから、苦難の道を進しかない。

もう、7月なのに中庭は快適さを保っていた。

杠も汗を知らない人みたいにすっと立っていたから、声をかけられなかった。

いや違う。
あのにこやかな笑顔に隠した本性は俺にも見せてくれないのか。
いくつの仮面を持ってる?