植本は案外簡単に見つかった。

…杠とともに


それはいい。話しかけるタイミングがなくて半ば強引に仲に入り話を繋げていると、これまた強引に小柳が入ってきた。
予想外だし、せっかくのチャンスが踏みにじられモヤモヤする。


一緒に帰るつもりなんてなかったのに。


むしろ杠と帰りたかったのに。


なら、断ればいいって思うけど、思うんだけど、やっぱり俺は弱かった。
杠の顔が見られない。
どんな顔でどんな目で俺と小柳を見ているんだろう。

ダラダラと浪費されていく時間を眺めていたら、
植本が杠の手を引いて階段を登っていく。

杠が抵抗してくれたらと無駄な期待も砕け散り、二人が踊り場を曲がって、少ししてスマホに着信がくる。



植本…?